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“もう、子供に見えなくて困ってるよ”~女の子ver.~
中学で学年が1つ下だったユチョン。
背が私より低くてとっても愛らしい、弟のような男の子だった。 いつもふざけてじゃれ合い、性別を越えた家族のような存在……。 そんなユチョンが、卒業式を終えた私を呼び止めた。 『なぎ……いや、なぎさ。 俺、男らしくなってなぎさんとこ行くから、その………待っててほしい』 そう言って渡されたキーホルダー。 家に帰って改めて見たときに見付けた、 “同じ高校にいけたら……”と書かれた小さな手紙。 続く言葉を読んで、私の心は淡い桃色に色付いた。 けど、 “会えない・話せない1年は、きっとお互いの気持ちを冷まさせてしまう…” そう思ったなぎさは、そのキーホルダーをそっと……気持ちと一緒に机の中の小箱にしまった。 高校に入って、2度目の春ーーーーー 慣れることでいっぱいだった1年が過ぎ、 2年生になった私の前に、彼は現れた。 一段と身長が伸びて格好よくなった………ユチョンが。 女の子に囲まれながら大移動する彼が、ふと私の方に視線を向ける。 ハッと息を飲んだ私とは裏腹に、彼は何食わぬ顔で前を通りすぎる。 “やっぱり、1年経つと変わっちゃうよね…” 久し振りに思い出したキーホルダーの存在……。 “未練たらしい女みたいにならなくて良かった…” 彼とすれ違ったなぎさは、付けてないことに胸を撫で下ろした。 “でも、内面まで変わっちゃったの……?” そう思い日々を過ごすなぎさの前に、再び彼が現れた。 なるべく視界に入らないように……。 下を向き、廊下を静かに通りすぎようとするなぎさの前をさえぎるユチョン。 右…左と、行く手を遮られたことで、なぎさは思わず顔を上げた。 高校に入ってきたユチョンと目が合ったのは、今日で5度目。 5度目にしてやっと、彼は口を開いた……。 『どうして……ないの?』 なぎさの聞き返す言葉が口から漏れると同時に、ユチョンの長い指がなぎさの髪の毛を耳へと導く。 微かに指が耳に触れ、なぎさがキュッと肩をすくめると、ユチョンは唇を耳へと寄せた。 『俺はずっと、想ってたよ…』 ユチョンの吐息と甘い言葉に、閉じかけた瞳を勢いよく開きその方向に向ける。 なぎさの前髪が頬に当たりユチョンも向きを変えると、二人の距離は数センチ………。 予想打にしてないシチュエーションになぎさは固まるが、ユチョンは表情1つ変えずまた寄ろうとする。 思わずギュッと目をつぶったなぎさを見てユチョンはフッと笑うと、大きな左手を愛しい頭の上でポンポンと優しく弾ませた。 『俺はいっぺんにでも欲しいけど、なぎはまだ準備出来てないだろーから少しずつ………だから口はお預け(笑)』 そう微笑みながら姿勢を直すと、はぁっ……!と何かを思い出した表情のなぎさを見て唇を寄せた。 チュッ……… 頬に当たった暖かい感触と、耳に入ってきた音…。 不意をつかれたなぎさは、言葉を喉につまらせた。 『唇は、また今度ゆっくりな…』 そう言ってその場を後にするユチョンを、なぎさはゆっくりと振り向きながら見送った。 まだ頬に残る感触を、左手で押さえながら…。 仲間から茶化されるように戯れるユチョンが、歩きながら皆の目を盗んで自分の方へと視線を向け微笑むと、なぎの胸がドグンと大きく波をうった。 “同じ高校にいけたら……俺の欲しいもの、くれる? 俺、頑張るから………なぎさのことが好きです” そう書かれた手紙を持った、あのキーホルダー…。 その瞬間思い出された、中学時代までのユチョン。 背が高くなって、学ランからブレザーに変わっただけたのに………。 1年という月日で、こんなにも大人の男に成長するとはなぎさは思いもよらなかった。 『どうしよう……ユチョンが、あの頃と違って見えて……困っちゃうよぉ…///』 顔を赤く染めたなぎさは、まだ知らない。 これからもっと、ユチョンに赤くに染められていくことを……… 終わり
by k-tmyf
| 2015-10-29 12:30
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