恋の嵐は突然に…〈the second chapter〉6
…………………。


しばらく沈黙の時間が続いた。


『会いたかった…』

その一言で気持ちが伝わるであろうに…

ユチョンは喜びでその一言がなかなか喉から出てこないでいた。



ただじっとエンジャを見つめて微笑んでいると、髪を耳にかけたエンジャがユチョンの視線に気付いた。



『……ん?』

『ユファンと……どこに行ったの?』



「聞きたくないし、言わせたくない……何でこんなこと言ったんだ…」


ユチョンはすぐに後悔した。



『…ご飯、食べに行きました…』


俯きながら気まずそうに話すエンジャを見ると、変に勘ぐってしまいそうになる……。


『ご飯、食べただけ??……何も、されなかった……?』


『…え??』



最初のうちこそ意味が分からずキョトンとしていたエンジャだが、ユチョンの左手が頬に触れ親指の腹でスーッと唇をなぞられると、ユファンが迫ってきたのを思い出し、ビクンと体を震わせユチョンから離れた。



キスをされたと思い込んだユチョンは、エンジャの手を引いて建物の間の通路へと入った。


『えっ?!ちょっと……ユチョンさんっ!……………んんっ…!!』


勢いよく塞がれたはずなのに、ユチョンの唇の動きはとても優しく、突き放そうと突っ張っている腕の力がフッと抜けてしまう程だった。


ユチョンの胸のあたりで突っぱねていた腕が、脇腹のあたりまで下がると、それ以上下げまいとエンジャはグッとユチョンのシャツを掴んだ。


その動きに合わせるかのように、ゆっくりとユチョンが唇を離すと、


『……消毒…』

とエンジャの目を見つめて、ニコッと笑った。


いつものユチョンからは想像も出来ない子供っぽい振る舞いに、思わずクスッとエンジャが笑うと、



『…会いたかった……』

今度はキリッと真面目に、かつ、色気のある顔でエンジャに囁いた。



そしてもう一度…エンジャの唇を塞ごうとユチョンが顔を近付けたとき、






チリンチリーン





と、美容室のドアの鈴の音と共に、ユファンの声が聞こえた。


『あれ??エンジャさーーん?ヒョーーーン??
…………おかしいなぁ……』


ドタドタと響く足音に、エンジャがユチョンの体を離して通路から出ようとすると、再びユチョンに腕を掴まれた。


そして力強く引っ張られると、ガッシリとしたユチョンの胸の中に戻された。



ビックリして見上げたエンジャの顔に手を添えて、ユチョンはもう一度唇を合わせる。


顔が離れて見つめ合うと、ユチョンはニコッと微笑んで通路から出ていった…。



『ユファナー……戸締まり終わった??』


『あれ??ヒョン………どこにいたの?』


反対側から小走りできたユファンが息を切らせながら聞くと、


『ん?……隣の店でタバコ買ってた…』

そう言いながらタバコに火をつけると、ヒョコッと眉を上げて笑った。


『エンジャさんは?一緒じゃなかったの??』


心配そうに聞くユファンに、


『通路んとこで、電話してたけど……』


と少し大きめの声でユチョンが答えると、携帯を片手にエンジャが通路から出てきた。



『すみません、先輩から電話があって……話長くなっちゃった……』


ユチョンの話に合わせるようにそう言うと、携帯を鞄へとしまった。





『お待たせ…じゃあ行こうか?』


ユファンがエンジャの手を取り歩き始める……


エンジャはチラッとユチョンを見たが、ユチョンはただただ静かに笑っていた。




エンジャを挟むように横並びに三人で歩いていると、エンジャのパンツの後ろのポケットに何か違和感を感じた。


歩きながらフッと覗き込むと、そこには、ユチョンの長い人差し指が入っている。



ビックリしてエンジャは顔を上げたが、ユチョンは素知らぬ顔でタバコを吸っている…。


何も知らないユファンと、エンジャを離そうとしないユチョン…。




そんな二人に挟まれて、嵐が始まるであろうbarへと三人は歩みを進めていた。









続く
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by k-tmyf | 2013-08-21 11:09 | 恋の嵐は突然に・・・

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